離婚後の生活を支える!年金分割の仕組みや手続きをわかりやすく解説!
離婚後の生活を安定させるためには、「年金分割」という制度を正しく理解して、スムーズに活用することが、お互いの生活のためになります
今回は、年金分割の基本的な仕組みや手続きの流れ、さらにそのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
また、手続きにおける必要な準備や各種書類、そして注意すべき点など、皆さんが安心して年金分割手続きを進められるよう解説します。
この記事を読むことで、年金分割についての全体像がつかめ、どのように行動すべきかが明確にしてもらえればと思います。
1. 年金分割制度の方式と分割請求の期限
年金分割には、主に合意分割と3号分割という2つの方式があります。
まずは、それぞれの分割制度の中身を理解しましょう。
いずれも期限が2年以内なので、期限を過ぎないように気をつけましょう。
年金分割の方式 | 内容 | 分割割合 | 適用期間 |
---|---|---|---|
合意分割 | 当事者の合意または裁判手続き | 最大50% | 過去の全期間 |
3号分割 | 3号被保険者期間の分割 | 50% | 2008年4月1日以降 |
1.1 「合意分割制度」
離婚等をし、以下の条件に該当したときに、当事者の一方または双方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。
- 婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。
- 当事者の合意または裁判手続きにより按分割合を定めたこと。(合意がまとまらない場合は、当事者の一方の求めにより、裁判所が按分割合を定めることができます。)
- 請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと。
なお、合意分割の請求が行われた場合、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。
したがって、3号分割の対象となる期間は、3号分割による標準報酬の分割に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われます。出典:日本年金機構公式HPより
1.2 「3号分割制度」
離婚等をし、以下の条件に該当したときに、国民年金の第3号被保険者であった方からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度です。
- 婚姻期間中に平成20年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者期間があること。
- 請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと。
なお、「3号分割制度」については、当事者の合意は必要ありません。ただし、分割される方が障害厚生年金の受給権者で、この分割請求の対象となる期間を年金額の基礎としている場合は、「3号分割」請求は認められません。
出典:日本年金機構公式HPより
1.3 分割請求の期限
分割請求の期限は、原則として、次の事由に該当した日の翌日から起算して2年以内です。
- 離婚をしたとき(※)
- 婚姻の取り消しをしたとき(※)
- 事実婚関係にある方が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消したと認められるとき
(※)事実婚関係にある当事者が婚姻の届出を行い引き続き婚姻関係にあったが、その後1または2の状態に該当した場合、1または2に該当した日の翌日から起算して2年を過ぎると請求できません。
出典:日本年金機構公式HPより
1.4 期限の短縮と延長(分割請求期限の特例)
年金分割の請求期限は原則として離婚した翌日から2年ですが、特例として、期限が短縮されるケースと延長されるケースがあります。
短縮されるケース | 離婚後に相手が死亡した場合は、相手側が死亡した日から起算して1ヶ月を超えると請求できなくなります。 |
延長されるケース | 離婚をした翌日から2年を超える前に、分割割合を定める調停、審判を申し立てることにより、分割結果が出るのが年金分割の請求期限である2年を過ぎた場合でも、結果が出た日の翌日から6ヶ月のに限り、年金事務所に年金分割を請求することができます。 |
2. 「合意分割」の手続きの流れと必要書類
合意分割には、夫婦の合意が必要です。
最初は2人でよく話し合い、まとまらない場合は調停や裁判所の判断で決定します。
2.1 「合意分割」の手続きの流れ
年金事務所又は各共済窓口に「年金分割のための情報提供請求書」を提出すると、1週間ほどで情報通知書が郵送により送付されます。
「年金分割のための情報通知書」を取得したら、通知書に記載されている情報をもとに年金分割について話し合います。
話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所へ調停の申し立てを行い、調停不成立の場合は審判手続きに進み裁判所の判断で按分割合を決定します。
年金分割の割合が決定したら、年金事務所で年金分割を請求します。
年金事務所に必要書類を提出してから約2~3週間ほどで「標準報酬改定通知書」が夫婦双方に送付されて完了です。
2.2 「合意分割」に必要な書類
年金分割の手続きでは、多くの書類が必要となります。
事前に正確な書類を準備することで、手続きをスムーズに進めることができます。
書類又は必要な物 | 説明 |
---|---|
本人確認ができる書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど |
年金分割及び割合を明らかにできる書類 | 合意書、公正証書、確定証明書、調停証書の謄本、審判書の謄本 |
標準報酬改定請求書(離婚時の年金分割の請求書) | 日本年金機構のホームページから取得 |
婚姻期間を明らかにできる書類 | 戸籍謄本 |
二人が生存していることを証明できる書類 | 戸籍謄本 |
事実婚を明らかにできる書類 | 住民票 |
年金手帳または基礎年金番号通知書 | 請求書に基礎年金番号を記載した場合 |
マイナンバーカード | 請求書にマイナンバーを記入した場合 |
3. 「3号分割」の手続きの流れと必要書類
3.1 「3号分割」の手続きの流れ
3号分割は合意分割とは違い、離婚後に第3号被保険者であった方が一人で年金事務所へ行き「標準報酬改定請求」を提出するだけで完了です。
- 離婚後に年金事務所で「標準報酬改定請求」を提出する
- 「標準報酬改定通知書」を受け取る
「標準報酬改定通知書」は、約2~3週間ほどで郵送されてきます。
これで終了です。
3.2 「合意分割」に必要な書類
書類又は必要な物 | 説明 |
---|---|
婚姻期間等を明らかにできる書類 | 戸籍謄本 |
二人が生存していることを証明できる書類 | 戸籍謄本 |
標準報酬改定請求書 | 日本年金機構のホームページから取得 |
事実上離婚状態にあることを明らかにできる書類 | 住民票 |
事実婚の関係を明らかにできる書類 | 住民票 |
年金手帳または基礎年金番号通知書 | 請求書に基礎年金番号を記載した場合 |
マイナンバーカード | 請求書にマイナンバーを記入した場合 |
4. 年金分割の決め方と専門家に相談する必要性
4.1 分割割合の決め方
年金分割の際に非常に大きなポイントとなるのが、分割割合をどう決めるかです。
日本の法律では、婚姻期間中の厚生年金に関しては最大で50%まで分割することが可能とされています。
この決定は夫婦間の話し合いによって行われますが、合意が難しい場合は、調停や裁判所の判断が必要となることもあります。
実際のケースでは、収入格差や年金加入期間など様々な要素が考慮され、夫婦双方にとって公正な分割がなされるよう努められます。
例えば、専業主婦だった配偶者が年金受給時に不利にならないような配慮も必要です。慎重に話し合うことをお勧めします。
4.2 弁護士や専門家に相談する必要性
夫婦だけでの分割合意や、話し合いが上手くいかない場合には、弁護士などに相談することも有効です。
例えば、離婚問題を専門に扱う法律事務所に相談することで、直接対決を避けつつ、公正な分割が可能となります。
弁護士費用は高くつく場合もありますが、まず初回の無料相談を受けられる法テラスを利用すると安心です。
このような専門家の支援を受けることで不安が減少し、スムーズに手続きを進めることができます。
質問事項 | 説明 |
---|---|
分割割合の決め方 | 夫婦間の合意により厚生年金最多50%まで決定。合意が得られない場合は調停を検討。 |
手続き完了後の流れ | 日本年金機構からの通知を確認し、分割年金が今後の受け取りに加算される。 |
専門家への相談の必要性 | 法律や手続きが複雑なため、弁護士や専門家のサポートを受けることも選択肢の一つ。 |
6. まとめ
年金分割は、離婚後の生活を安定させるための重要な手続きの一つです
その仕組みを理解し、正確な手続きを行うことで、離婚後の経済的基盤をしっかりと築くことができます
「合意分割」と「3号分割」の違いを理解し、自分たちの当てはまるステップを踏む必要があります。
手続きには期限があるため、早めの準備が肝心です。
また、弁護士や専門家に相談することで、手続きがスムーズに進む可能性が高まります。
年金分割のメリットは多いですが、自分自身の状況に合った選択を心掛け、将来の生活設計を考慮した上で進めていくことが重要です。